2009年12月25日
ハンマーパンチ
こんばんは~!
とりあえずメリークリスマス!ってことで、この表紙を。↓

週刊少年マガジン昭和43年3月10日号(第11号)です。
・・・とは言っても、カラーリングが緑と赤ってことぐらいで、クリスマスとはまったく関係ありませんが(^^;)
・・・ということで、久しぶりにボクシングの話題でも。(ボクシングばっかりという気もしますが・・・--;)
最近は日本ボクシング界もある意味活気が戻ってきて、ボクシング好きの僕にとっては嬉しい限りです。
・・・様々な問題が山積していて、不安定な状態にも見えますが(--;)
「強豪同士の真剣勝負によって選ばれた者だけが世界王者になれる」というボクシング界において、真の意味での黄金時代が終わって久しいですが、現在の日本人世界王者の顔ぶれを見るとまさに玉石混交(※1)という言葉がピッタリです(--)
それでも日本人の世界王者がたくさんいるのは良いことだと思います。(良かれ悪しかれプロボクシングが世間に注目されるという意味で)
さて、冒頭の画像で漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈とともに表紙を飾る無骨なヒゲ面の男は、世界ジュニア・ウェルター級王者・藤猛(ふじ・たけし)です。
ハワイの日系三世である藤猛は、本名をポール・タケシ・藤井(Paul Takeshi Fujii)と言い、「ハンマーパンチ」と呼ばれる強力な左右フルスイングで一世を風靡しました。上半身をグルグル回転させながら対戦相手を幻惑する、いわゆる「デンプシー・ロール」の使い手でもあります。
それでは、突然ですが藤猛の戴冠試合、対サンドロ・ロポポロ(Sandro Lopopolo)戦をYouTube動画で見てみましょう。
最近は、試合前にハッタリをかましても試合本番ではなかなか相手を倒せず試合後は見苦しい言い訳を連発する腰抜け虚飾ボクサーもいますが、この試合での藤猛はまったく違います。
実力派世界王者であり、ローマオリンピックのボクシングライト級銀メダリストでもあるテクニシャン・ロポポロを相手に、ちゃんと期待通りブッ倒すところがスゴイです(^^)
それと、この試合では実況にも注目。
近年の大げさに脚色化された格闘技番組に慣れた方には物足りなく感じるかもしれませんが、僕自身は1980年代以前の実況中継こそがスポーツ放送の本来あるべき姿だと思っています。
現在のようにやたらと誇張して無駄な絶叫を繰り返す下品な「アナウンサー」(と呼ばれる素人)とは大きく異なり、試合内容や両者の情報を的確に伝えるプロの技術がすばらしい。
そして、試合中は決して一方だけのひいきをするのではなく、心のある公平公正な実況中継を展開しています。
現在の民放の低俗なスポーツ中継とは180度対極に位置するハイレベルの放送です。
郡司信夫、白井義男両解説者の味のある解説もイイですね。特に日本人初の世界王者でもある白井解説者。自身の経験に基づいたボクシング論を展開し、ハッキリとした分かりやすい解説を行っています。
試合全般を通じて、白井解説者は藤の対戦相手である王者ロポポロの秀逸なボクシング技術をしっかりと評価しています。また、一見藤のチャンスに見える場面でも、「今の(藤のフック)は当たってないです。(ロポポロには)全然当たってませんね~!^^;」などと正直に伝えています。若干形勢が不利な藤の様子を見て思わず出た、「両者が相打ちになると面白い」というコメントにもニヤリとさせられます。
こういう正当な実況中継ができない今の放送関係者には、ぜひともこの中継姿勢を見習ってほしいものです。
とは言っても、現在のように利権でマスコミががんじがらめになっている最悪の状況が続くうちは、到底無理な話でしょうけど(**)
・・・つい熱くなって前置きが長くなりましたが、それではyoutube動画をどうぞ!
独特の臨場感で迫る、古き良き時代の世界戦高品質実況中継をお楽しみ下さい!
ウザい脚色や薄っぺらなパフォーマンスや誇大広告宣伝は一切ありません。当然のことながら、競技に全く関係のないヘンなタレントやアイドルも登場しません。
「Takeshi Paul Fuji KO2 Sandro Lopololo」
URL: http://www.youtube.com/watch?v=vPPujvw2sdk
いかがでしたか?
「これぞ世界戦!」という感じです。試合はたったの2ラウンドで終了しますが、典型的なファイター対テクニシャンの攻防戦は見応えがあり、とても興味深かったです。
藤がロポポロから最初のダウンを奪ったときの、デンプシーロール→左右フックのフィニッシュまでの流れが非常にスリリング。
調子に乗りかけたロポポロの高速ジャブをかいくぐって藤がついに見せる、上半身のローリング(3回)→左フック(空振り^^;)→返しの右フック(命中!)の一連の動きがワンダフルです。
特に最後の右フックは、両者のパンチが至近距離で交錯する中で、見事カウンターとなって王者の顔面にガッツリ命中してます(^^;)
これをあえて擬音で表すと、「グルン・グルン・グルン、ブン!、バコッ!!!」って感じでしょうか。
とにかく素晴らしいです(^^)
あと、あのコワモテからは想像もつかないインタビュー時のお茶目な藤猛に驚かされます(^^)
まだ片言の日本語しか話せなくても、少々照れながらも、遠方でテレビ観戦している岡山のおばあちゃんに対して遠慮がちに手を振る姿がほほえましいです。視聴者に不快感を与えるようなことは決してありません。
藤猛は、試合中の勇姿と普段の憎めない言動とのギャップで人気を集めました。
そして再びyoutube動画。最後は尾藤イサオの歌で「あしたのジョー」!
残念ながら当時のアニメ主題歌は見つからなかったので、代わりに2005年の映像でご了承ください。
ですが、尾藤イサオはメチャクチャカッコイイです。
・・・クリスマスにはふさわしくないですかね(^^;;)
「あしたのジョー - 尾藤イサオ」
URL: http://www.youtube.com/watch?v=P1zXLNtpWmk&feature=related
さて、今回紹介した週刊少年マガジン昭和43年3月10日号では、藤猛の激動の半生をつづった50ページ長編マンガ「藤猛物語 ヤマト魂」が収録されています。
この伝記漫画は同名の日活映画をもとにしていて、原案:中川幹朗、脚本:浅間虹児、漫画:影丸譲也という陣容です。
世界王者になる前の藤猛とその周辺に関する興味深い内容が描かれています。
これはまた次の機会に紹介したいと思います。
※1:玉石混交(玉石混淆)ぎょくせきこんこう
宝石(玉)とただの石ころ(石)が入り混じっていること。価値あるものと価値のないものが入り混じっていること。良いものと悪いものが入り混じっていること。
現在の日本人世界王者では、誰が宝石で誰が石ころでしょうか?
(2010年2月9日修正:先日の世界戦を見て、思うことがあったので書き足しました。)
※ 動画・画像・リンク先等の提示は、あくまでも紹介の範囲内という認識で行っています。不都合が生じる恐れがあればすぐに削除しますので、お手数ですがご指摘のほど、よろしくお願いします。(文中敬称略)
とりあえずメリークリスマス!ってことで、この表紙を。↓
週刊少年マガジン昭和43年3月10日号(第11号)です。
・・・とは言っても、カラーリングが緑と赤ってことぐらいで、クリスマスとはまったく関係ありませんが(^^;)
・・・ということで、久しぶりにボクシングの話題でも。(ボクシングばっかりという気もしますが・・・--;)
最近は日本ボクシング界もある意味活気が戻ってきて、ボクシング好きの僕にとっては嬉しい限りです。
・・・様々な問題が山積していて、不安定な状態にも見えますが(--;)
「強豪同士の真剣勝負によって選ばれた者だけが世界王者になれる」というボクシング界において、真の意味での黄金時代が終わって久しいですが、現在の日本人世界王者の顔ぶれを見るとまさに玉石混交(※1)という言葉がピッタリです(--)
それでも日本人の世界王者がたくさんいるのは良いことだと思います。(良かれ悪しかれプロボクシングが世間に注目されるという意味で)
さて、冒頭の画像で漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈とともに表紙を飾る無骨なヒゲ面の男は、世界ジュニア・ウェルター級王者・藤猛(ふじ・たけし)です。
ハワイの日系三世である藤猛は、本名をポール・タケシ・藤井(Paul Takeshi Fujii)と言い、「ハンマーパンチ」と呼ばれる強力な左右フルスイングで一世を風靡しました。上半身をグルグル回転させながら対戦相手を幻惑する、いわゆる「デンプシー・ロール」の使い手でもあります。
それでは、突然ですが藤猛の戴冠試合、対サンドロ・ロポポロ(Sandro Lopopolo)戦をYouTube動画で見てみましょう。
最近は、試合前にハッタリをかましても試合本番ではなかなか相手を倒せず試合後は見苦しい言い訳を連発する腰抜け虚飾ボクサーもいますが、この試合での藤猛はまったく違います。
実力派世界王者であり、ローマオリンピックのボクシングライト級銀メダリストでもあるテクニシャン・ロポポロを相手に、ちゃんと期待通りブッ倒すところがスゴイです(^^)
それと、この試合では実況にも注目。
近年の大げさに脚色化された格闘技番組に慣れた方には物足りなく感じるかもしれませんが、僕自身は1980年代以前の実況中継こそがスポーツ放送の本来あるべき姿だと思っています。
現在のようにやたらと誇張して無駄な絶叫を繰り返す下品な「アナウンサー」(と呼ばれる素人)とは大きく異なり、試合内容や両者の情報を的確に伝えるプロの技術がすばらしい。
そして、試合中は決して一方だけのひいきをするのではなく、心のある公平公正な実況中継を展開しています。
現在の民放の低俗なスポーツ中継とは180度対極に位置するハイレベルの放送です。
郡司信夫、白井義男両解説者の味のある解説もイイですね。特に日本人初の世界王者でもある白井解説者。自身の経験に基づいたボクシング論を展開し、ハッキリとした分かりやすい解説を行っています。
試合全般を通じて、白井解説者は藤の対戦相手である王者ロポポロの秀逸なボクシング技術をしっかりと評価しています。また、一見藤のチャンスに見える場面でも、「今の(藤のフック)は当たってないです。(ロポポロには)全然当たってませんね~!^^;」などと正直に伝えています。若干形勢が不利な藤の様子を見て思わず出た、「両者が相打ちになると面白い」というコメントにもニヤリとさせられます。
こういう正当な実況中継ができない今の放送関係者には、ぜひともこの中継姿勢を見習ってほしいものです。
とは言っても、現在のように利権でマスコミががんじがらめになっている最悪の状況が続くうちは、到底無理な話でしょうけど(**)
・・・つい熱くなって前置きが長くなりましたが、それではyoutube動画をどうぞ!
独特の臨場感で迫る、古き良き時代の世界戦高品質実況中継をお楽しみ下さい!
ウザい脚色や薄っぺらなパフォーマンスや誇大広告宣伝は一切ありません。当然のことながら、競技に全く関係のないヘンなタレントやアイドルも登場しません。
「Takeshi Paul Fuji KO2 Sandro Lopololo」
URL: http://www.youtube.com/watch?v=vPPujvw2sdk
いかがでしたか?
「これぞ世界戦!」という感じです。試合はたったの2ラウンドで終了しますが、典型的なファイター対テクニシャンの攻防戦は見応えがあり、とても興味深かったです。
藤がロポポロから最初のダウンを奪ったときの、デンプシーロール→左右フックのフィニッシュまでの流れが非常にスリリング。
調子に乗りかけたロポポロの高速ジャブをかいくぐって藤がついに見せる、上半身のローリング(3回)→左フック(空振り^^;)→返しの右フック(命中!)の一連の動きがワンダフルです。
特に最後の右フックは、両者のパンチが至近距離で交錯する中で、見事カウンターとなって王者の顔面にガッツリ命中してます(^^;)
これをあえて擬音で表すと、「グルン・グルン・グルン、ブン!、バコッ!!!」って感じでしょうか。
とにかく素晴らしいです(^^)
あと、あのコワモテからは想像もつかないインタビュー時のお茶目な藤猛に驚かされます(^^)
まだ片言の日本語しか話せなくても、少々照れながらも、遠方でテレビ観戦している岡山のおばあちゃんに対して遠慮がちに手を振る姿がほほえましいです。視聴者に不快感を与えるようなことは決してありません。
藤猛は、試合中の勇姿と普段の憎めない言動とのギャップで人気を集めました。
そして再びyoutube動画。最後は尾藤イサオの歌で「あしたのジョー」!
残念ながら当時のアニメ主題歌は見つからなかったので、代わりに2005年の映像でご了承ください。
ですが、尾藤イサオはメチャクチャカッコイイです。
・・・クリスマスにはふさわしくないですかね(^^;;)
「あしたのジョー - 尾藤イサオ」
URL: http://www.youtube.com/watch?v=P1zXLNtpWmk&feature=related
さて、今回紹介した週刊少年マガジン昭和43年3月10日号では、藤猛の激動の半生をつづった50ページ長編マンガ「藤猛物語 ヤマト魂」が収録されています。
この伝記漫画は同名の日活映画をもとにしていて、原案:中川幹朗、脚本:浅間虹児、漫画:影丸譲也という陣容です。
世界王者になる前の藤猛とその周辺に関する興味深い内容が描かれています。
これはまた次の機会に紹介したいと思います。
※1:玉石混交(玉石混淆)ぎょくせきこんこう
宝石(玉)とただの石ころ(石)が入り混じっていること。価値あるものと価値のないものが入り混じっていること。良いものと悪いものが入り混じっていること。
現在の日本人世界王者では、誰が宝石で誰が石ころでしょうか?
(2010年2月9日修正:先日の世界戦を見て、思うことがあったので書き足しました。)
↓「にほんブログ村」のアクセスランキングに参加中!どちらかに応援クリックよろしくです。↓
※ 動画・画像・リンク先等の提示は、あくまでも紹介の範囲内という認識で行っています。不都合が生じる恐れがあればすぐに削除しますので、お手数ですがご指摘のほど、よろしくお願いします。(文中敬称略)
Posted by 真一 at 01:08│Comments(0)
│ボクシング世界王者