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2008年10月12日

乗用車世界一周(後編)

乗用車世界一周(後編)こんにちは~。しばらく更新できず申し訳なかったです。m(__)m

前回記事「乗用車世界一周」の第2弾で、引き続き絵本「ひかりのくに愛児の絵本⑲ じょうようしゃ(乗用車)」の話題です。

ということで、右にいきなり中途半端な画像が出てきましたが、これは欠落した後ろの部分の残りのページです。こういう不完全な画像を掲載するのもどうかと思いますが、とりあえず全部紹介したかったのでご了承くださいm(__)m

絵は半分しかありませんが、このオレンジ色の車の下方にかろうじてホンダ 1300クーペ(Honda 1300Coupe)という説明書きがありました。
それと、1300クーペの横に見える青い車はマツダのサバンナでしょう。
また、この絵では、河原に駐車した車の横で子供が母親と水遊びしている様子が確認できます。

川辺での家族の憩いと日本の大衆車を描いたことで、とても親しみやすい絵になりました。・・・まあ、左側は何が描かれているか分かりませんが(--;)


時間があるときに家中をくまなく探せば、この絵の左側のページも出てくる可能性があるので、そのときはブログで紹介します(^^;)



・・・ということで前置きが長くなりましたが、後半部分行ってみましょう~!!


まずはこの車から ↓

乗用車世界一周(後編)

北欧スウェーデンの乗用車2台です。
黄色い車がボルボ I800E(Volvo I800E)で、その後ろの赤い車がサーブ 99EA(SAAB 99EA)です。

僕のイメージだと、ボルボってあの四角いステーションワゴンが真っ先に来るのですが、こういうスポーツタイプもあったんですね。しかもトレードマークのグリルの斜め線がありません。なかなか興味深いです。

一方のサーブは、もうホントに普通の小型車って感じで・・・(^^;) 
しかし実際は航空機や軍用機も生産している大型メーカーってところが意外です。

改めて上の絵を見ると、コントラストが鮮やかでキレがあって、かなりイイですよね。この絵本のラインナップの中でも出来の良い絵の一つではないでしょうか。
車のメタリックな質感が忠実に再現されてますし、背景もしっかり描かれています。2台の車の周囲を取り巻く澄み切った風景は、同じスウェーデンのまちの様子でしょうか。川のほとりの風光明媚な場所です。


続いては・・・↓

乗用車世界一周(後編)

いよいよ「真打登場!」って感じで、真っ黒なメルセデスベンツ 600(Mercedes-Benz 600)がモノレールをしたがえて颯爽と現れました。旧西ドイツの車として紹介されています。
絵本の本文中にもあるとおり、憧れの車の一つです。

・・・ですが、この絵は見れば見るほど考えさせられてしまいますね。前回記事のムスタング対はとバスの対決もそうでした。

この絵からは次のような図式が浮かんできます。


  ベンツ と モノレール。
      ↓
  高級外車 と 公共交通手段。
      ↓
  特別輸送 と 大量輸送。
      ↓
  セレブ・社長・政治家 と 一般庶民。
      ↓
  上流階級 と 中流・下層階級。


少々意地悪な目で見ると、皮肉にも現代の格差社会の縮図が描かれています(--)
ちなみに、言うまでもなく僕は後者に当てはまります(--;)

・・・まあ、作者も格差社会のことまでは考えてはいないかもしれませんが(--;;)


お次は・・・ ↓

乗用車世界一周(後編)

色鮮やかな夕焼け空の下、特急列車と併走するプジョー 504クーペ(Peugeot 504Coupe)です。秀逸な背景の一方で、主役の車は若干地味な感じがします。

プジョーはフランスの自動車メーカーですが、この車のデザインはイタリアの大手デザイン企業ピニンファリーナ(Pininfarina)によるものです。一応イタリアを始めとする世界各国の車のデザインを手がけています。
フロント部分がいすゞ 117クーペの後期型に似てますが、117クーペのもともとのデザインはジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)です。
もしかすると同じイタリアつながりで何らかの関係があるのでしょうか。詳細が分かる方、情報提供していただけるとありがたいです。



そして最後にご紹介するのは・・・ ↓

乗用車世界一周(後編)

ジグリ(ЖИГУЛИ :Zhiguli)。当時社会主義国だった旧ソビエト連邦(ソ連)の車です。※注1
この頃は旧ソ連に関する情報がほとんどなかったと見え、車のタイプは不明。構図もフロント部分だけが強調されるように下方からのアングルで描かれています。他の絵と比べても不自然に見えます。

この絵本が出版された1970年前後は東西冷戦の真っ只中で、日本からすればソ連は対立国の一つです。そのような状況下でソ連の車を紹介することは非常に勇気の要ることだったかもしれません。
それでもこの車を採用し、本文中にわざわざ「ソビエトの じょうようしゃ」と明記しているのですから、絵本製作者ならびに関係者の心意気が並々ならぬものだったことが想像できます。

上の絵では、ソビエトの国旗を連想させる赤いジグリが 大きく積もった雪の上を滑るように走り、黄色とピンク色が複雑に混じった曇り空には鳥たちが羽ばたいています。
そして、他のいくつかの絵と同様、家族で移動する車の後部窓から子どもが顔を出しています。この様子を分かりやすく伝えるために、車のドアミラーが省略されています。

深い雪景色にも関わらず、とてもあたたかくて象徴的な絵に仕上げられています。

アメリカと敵対するソ連でも、我々と同じように、一般家庭ではこうしてごく普通の生活が営まれていることを実感させてくれる、とてもすばらしい絵だと思います。

※注1: 上記の赤い車はモスクビッチ(moskvitch)412ではないかという指摘が読者からありました。
    取り急ぎ調べたところ、ほぼ一致しておりました。後ほど本文を修正したいと思います。
    ご指摘くださった初さん、ありがとうございました。

・・・ということで、以上、いろいろと気付かされた絵本「じょうようしゃ」でした。

子供の頃はそんな小難しいことは微塵も感じませんでしたが、大人になって改めて読んでみると、絵本で世界一周をしながら様々なことを考えさせられました。



・・・ありゃー、何か重いエンディングになってしまいました(^^;)
いずれにしろ、この絵本が持つ奥深さに触れることができて、とても充実したひとときでした。


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タグ :絵本

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Posted by 真一 at 17:10│Comments(8)絵本
この記事へのコメント
haisai いつもたのしいきじあざーすっ!

こんかいもおもっろーすぎるじぇ!!

いつもたのしみにしてるよー  じかいのきじもたのしみにしてるぜ!
Posted by tkb at 2008年10月13日 00:35
tkb さん、こちらこそ、いつもいつもありがとうございます。
褒めてもらって恐縮ですが、今回は特に書き過ぎてしまいました(--;)

ですが、家にある絵本を引っ張り出してみると、いろんな発見があると思いますんで、ぜひぜひお試しあれ!

また書き込みヨロシクお願いしま~すm(__)m
Posted by 真一真一 at 2008年10月16日 21:15
真一様、
当方への書き込みありがとうございます。
最近ののりもの絵本はほとんど写真絵本になってしまいましたが、
70年代ののりもの絵本の挿絵はまことに見事です。
レビューに書かれているように味わい深いものがあります。
被写体も絵になるものが多かったということなのでしょう。
今は絵に描きたいと思えるような個性的で美しいクルマが少なくなりましたもんねえー。
Posted by papayoyo at 2011年08月18日 21:42
papayoyo 様

こちらこそ、早速のブログご訪問と書き込みありがとうございました。

なるほど、最近の絵本は写真中心なのですね。
確かに、他ジャンルの児童対象の出版物を見ても、イラストや絵画の挿絵はめっきり減ったように思います。

その頃の世相や画家の体臭を直接的に感じ、想像力を無限大に膨らますことができる挿絵が少なくなったのは非常に残念なことですね。

個人的には、購買層の好みの変化や制作側の時間的経済的制約の増加等が原因で、写実的なイラスト・空想絵画の数が減ってしまったと考えています。
言うまでもなく、このような写実的な挿絵は、制作に膨大な時間と技術力が費やされます。
コンピューターが発達した現在は、できるだけコストをかけずに最大限の効果が得られるような編集が主流になるのも仕方のないことかもしれませんね。

また、papayoyoさんがおっしゃるように、絵の対象物自体に魅力が少なくなってきたことも大きな原因として挙げられるでしょう。

僕自身も旧車が大好きで、20代の頃はMX41マークⅡを乗っていました。
最近、友人からja11ジムニーを購入し、乗り回しているところです(笑)。
古い車に乗るたびに、新車にはないフィーリングを感じてしまいます。

特にマークⅡに関しては、今思うと、デザイン上も機能上も、ある意味ムダが多かったような気がしますが、それがまたかっこよかったです。
その他の同時代のクルマ達にも同様の魅力があると思います。

この絵本を再読することによって、上述のような当時の「ものづくりのムダの良さ」が改めて認識させられます。

思わず独り言が長くなってしまいましたが、papayoyo さんとこのようなお話しをする機会ができて大変喜んでおります。

またのお越しを心よりお待ちしております。
Posted by 真一 at 2011年08月19日 13:36
ベンツとモノレール、フォードマスタングにはとバス.....作品に込められたメッセージ性は一つ一つ、当方の脳裏に響く限りです!
「格差社会」―一億総ミドルと言われた我が国にもこうした目に見えぬ壁は昔も今も変わらず存在していることが伺えます。
小生自身も、管理人様も「高級外車」と「公共輸送手段」の両グループ/文化圏の中間辺りの「日本の大衆車」層ぐらいには達している筈ですが逆にあのようなほのぼのとしたイラスト・キャプションで描かれた情景からはそれだから一層、深く重い意味が伝わってくるのではないでしょうか。
byヴィッツ1300U-L(自分名義)+レクサスIS350(家族名義・家族と共有)所有の身
Posted by 真鍋清 at 2014年06月04日 02:09
真鍋さん、丁寧なコメントありがとうございました。

おっしゃるように、格差社会は人類が文明を手にした頃から現在に至るまでずっと続いているのでしょうね。
運よく私も自家用車を所有しており、平均的な文化生活を享受していると思いますが、発展途上国だけでなく、わが国でも格差問題や様々な社会的矛盾が蔓延しています。

この絵本では世界各国の自動車を紹介していますが、結果として上述の問題点を訴えていると読み取ることができます。
当時の図解やイラストには、密かに深い意味や皮肉が込められていることも多く、それが鑑賞の楽しさというか奥深さを増幅させていると思います。

ところで、真鍋さんは良いクルマをお持ちですね。うらやましいです。
ちなみに、僕の所有車はスズキジムニーja11、妻はダイハツムーブコンテです。個人的には大型のセダンが好みですが、成り行きでこのような状況になっています。

今後ともよろしくお願いいたします。
またブログに立ち寄っていただけるとありがたいです。
Posted by 真一真一 at 2014年06月06日 17:56
ソビエトの赤い車は、おそらくモスクビッチ(moskvitch)412ではないかと思われます。
Posted by 初 at 2016年09月03日 12:49
初さん、貴重な情報ありがとうございます!
今急いでネットで調べてみると、ありましたありました。
スゴイですね。記事では色々とあることないこと書いてしまいましたが、一気に謎が解けたようです^^
バックミラーも当初からなかったようですね(笑)。
こういう情報はすごくありがたいです。改めて感謝申し上げます。
また何かございましたらお気軽にコメント下さいませ。
Posted by 真一真一 at 2016年09月29日 15:49
 
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